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| 三番瀬での移植実験でたくさんの成果が得られました アマモすくすくプロジェクト成果報告会(ダイジェスト) NPO三番瀬 (NPO法人三番瀬環境市民センター) |
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![]() アマモすくすくプロジェクトのアドバイザー・森田健二さんが実験の結果を科学的に検証してくれました |
○「アマモ場再生」は三番瀬保全のキーワード
(これまでの経緯) 私たちは小法人の前身である三番瀬研究会の時代(1980年代後半)、また、三番瀬フォーラムの時代よりアマモ場再生は三番瀬再生のキーワードになると考えていました。1990年発表の「2020年の三番瀬」でも、後背湿地の再生とともに、アマモ場の再生を提言しています。また、1999年から2001年にかけて実施した「三番瀬 海辺のふるさと再生計画」プロジェクトでは、過去の三番瀬の環境に関する聞き取り調査を実施したところ、この海域には広大 な藻場(アマモ場)があり、アマモは「ながも」「もく」などと呼ばれていたことが明らかになりました。そして2002年には、NPO三番瀬主催の三番瀬環境保全開発会議において藻場(アマモ場)再生に関する議論を行い、また、市川市委託事業でも、藻場に関する勉強会や再生現場の視察などを通して、アマモ場の再生に関する最新の知見を集積しました。その結果1年生のアマモ場であれば三番瀬において成立する可能性があるという仮設を立てるに至りました。 アマモの生育を左右する環境の要因は、大きく分けると水中光量(透明度)と水温、波浪・潮流による底質の移動・洗掘の3つです。以上の条件を踏まえ、さらに長年蓄えてきた三番瀬特有の気象・海況などに関する知識を最大限フィードバックしながらアマモ場再生のための試験移植を行ってきました。 |
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![]() 会場からもいろいろな質問がありました |
○1年生のアマモ場ならできるはず(目標・仮説の設定) 前で述べたとおり1年生のアマモ場であれば三番瀬で成立する可能性があるという仮説をたてました。1年生のアマモ場を再生するというのは、移植したアマモが6月、7月頃まで生育し、種子の結実を確認すること、また生育制限要因の確認、これを今回の実験の目標としました。 ○三番瀬に移植実験スタート アマモの移植は粘土結着法を用いました。そして、三番瀬海域内の3か所に移植しました。 ・ 2003年3月22日 三番瀬の行徳側(沖の大洲)の南と北の2か所に50株づつ移植 ・ 2003年4月5日 三番瀬の船橋側に1か所、200株を移植 アマモの生育のための環境要因が3つあることは先にも述べました。その中でも生長に最も関係のある水中光量に着目し、さらに水深、海底地形、卓越する季節風、夏季の透明度低下、水温上昇等を考慮して環境条件の異なる3地点を選定しました。 |
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○株数が10倍になったポイントも(これまでの結果・成果) 移植後より平成15年8月22日現在まで、各地点8回、合計24回のモニタリングを実施しました 株数の変化を見てみると、 行徳北側:50→34→66→125→187→181→212→317 行徳南側:50→43→21→44→75→94→139→95 船橋側:200→75→53→132→167→137→130→91 (株数の増減・移植現場の写真については資料参照) ○アマモの根元にはアサリがいっぱい(モニタリングでわかったこと) 移植直後の初期減耗はあったものの、その後順調に株数を伸ばし、7月末まで増加しました(行徳北では8月も増えました) 流失した株の一部が他地点で活着しました。 栄養株の一部は花枝を形成し結実しました 環境条件の違いに対応してアマモの生育状況も異なっていました。 生物(アサリ)との共生関係について、競合はありませんでした。むしろ、アサリが、アマモの地下茎付近に大量生息していることを確認しました。特に稚貝はアマモの地下茎に足糸を出して多数からまっていました。 ・移植時期について 今回の移植は3月下旬〜4月上旬に行っていて、理想とされる移植時期よりも遅くなってしまいました。もっと早い時期に移植を行えば、冬季後半から春季にかけての季節風が卓越する前に株の定着が進み、初期減耗を最小限に抑えることができると考えられます。今年は、移植に際し、富津・船橋・行徳・南行徳の4漁協の理解と協力を得るために事前に少々時間がかかったという、社会的事情によりやむを得ず移植時期に遅れが生じました。 ○アマモ場再生に関する貴重なデータが得られました(移植実験でわかったこと) 種子の結実を確認できた事により1年生のアマモ場ができることは実証されました。また、株数増加という結果から、三番瀬の中で少なくとも移植を行った3地点はアマモの生育環境条件が整っていたということになります。さらに細かく考察していくと3箇所の環境条件の違いに対応してアマモの生育状況も異なっており、三番瀬におけるアマモの生育適地を判断する指標が確認できました。 次に生物(アサリ)との共生関係について、アサリの稚貝が足糸をアマモの地下茎に付けていたのは、海流・波に流されないようにするためと考えられます。そうであれば、アマモとアサリは、競合関係にあると言えないばかりか、アマモ場再生によりアサリの生息環境も改善され、漁場として好条件の環境となる可能性も見えてまいります。 最後のモニタリング時の3地点データに大きくばらつきがあるのは、8月10日の台風による影響と思われます。水深の浅い2地点は株数減少がみられますが他点より水深の深い地点は影響がみられませんでした。また、今年の夏は10年ぶりの冷夏ということもあり7月は水温が低く保たれたという事象も今回の試験のデータとしては考慮すべき点です。このように各地点異なる環境要因に起因する株数の増減など、再生のための条件の洗い出しに必要な貴重なデータが得られました。 行徳側の移植ポイントは水深が深く、9月以降、水中光量不足によって枯れていくことが予想されます。船橋側は高水温のため、さらに早く枯れるであろうと予想しています。その意味では継続的な市民の取り組みと移植場所の整備が必要です。アマモ場が広がることで、環境条件が変わる可能性もあることが見えてきました。上記のように、二枚貝の生き残りが良くなれば水質も改善し、環境条件が良くなっていく可能性が出てくるという相乗効果もあり得ます。また、三番瀬という東京湾奥の環境条件でアマモ場が再生できれば、同じような目標を持っている人たちに大きな励みとなり、全国に波及する可能性も出てくるものと思われます。 ○青潮対策とアマモ場のネットワークづくりが急務(今後の課題) 今年はまだ、三番瀬において大規模な青潮は発生していませんが、青潮がアマモにどのような影響を与えるのかを確認するのが、今後のモニタリングの課題となると考えています。青潮で二枚貝が死に、土壌中に硫化水素が発生した場合、アマモは根からその影響を受けると予想されます(横浜・野島でアマモ場が消滅したのもこれが原因と推定)。赤潮・青潮への対策は必要だと考えます。 それから、アマモ場の再生に関して現在の三番瀬で最も欠損しているものは種場の存在です。三番瀬では年間を通してアマモ場を維持するには、育苗できる場所(補給源)、種苗の確保が最大の課題です。以前であれば、東京湾内各所に干潟があり、それらがネットワークしていたおかげで、三番瀬のアマモがなくなっても他からの種の漂着等の供給がありました。現在はそれがほとんどありません。当面は人為的に継続的な移植と種苗生産・供給を行う必要があります。失った干潟のネットワークの再生・構築も視野に入れて、三番瀬でのアマモの再生・メンテナンスをはかり、ゆくゆくは他の干潟へも広げていきたいと考えています。 ○おわりに なぜ三番瀬にアマモを移植したのか? 私達が「三番瀬海辺のふるさと再生計画」のなかで行った年配の方への聞き取り調査において、かつての三番瀬には「ナガモ」や「モク」といわれるようにアマモ場が存在していたという話しをたくさんきくことができました。その藻場にたくさんの生き物が集まっていたそうです。確かに、明治時代の漁場図を見ると、東京湾各地に干潟やアマモ場が存在し、特に三番瀬と扇島に大規模なアマモ場があったことがわかります。しかし、漁のじゃまになるなどの理由で人為的に取り除いていたという話しも漁師の方から伺いました。さらには埋め立てやブルドーザーによる耕耘など、やはり人為的な要因でアマモ場が減少していった事実も見逃せません。アマモ場の存在によって得られる効果や周辺海域への相乗効果は広く知られるところです。かつて三番瀬にあったアマモを再生させて、「豊穣の海復活」の目標へ向けて一歩一歩前進していきたいと考えております。 ※市川市三番瀬塩浜案内所には写真資料、モニタリングの詳細なデータ等を用意しています。 |